学校に着いたらまずは下駄箱で靴を履き替え 「上履き」
「上履き」(うわばき)とは、学校の校舎や体育館など、建物内の土足禁止の場で下履きから履き替えるための履物のことです。 校内履きとか上靴 (うわぐつ)、内履き、室内履き、あるいは履物の種類や形状から 運動靴 や体育靴、ズック やサンダル、スリッパと呼ばれることもあります。
日本においては戦後の1950年代あたりから普及するようになり、幼稚園・保育園から小中高の義務教育全般に渡って様々な形状のものが用いられます。 校舎の玄関にあたる昇降口で上履き・下履きを履き替える習慣や決まりは二足制と呼ぶこともあります。 また二足制が定められていなくても、革靴などに比べてサンダルやスリッパは楽なので、大学やら企業やらで通学・通勤用の靴から自主的に履き替える人もいます。
外と室内の靴を履き分けるといった決まりは、日本や韓国、トルコの一部をはじめ 「靴を脱いで部屋に上がる」 という文化がある一部の国に特有のものです。 理由は気候的なものやそれに基づく建物の形状や文化、宗教によります。 一方で欧米をはじめ多くの国ではそのような区別がない方が一般的でしょう。 ただし外出時には靴紐のついた革靴、室内では簡便な スリッポン式 の ローファー に履き替えるといったケースもあります。
つま先に色がついたバレーシューズが1950年代から普及
日本人が小学校から中学校くらいまでの校舎内で履く上履きで真っ先に思い浮かべるのは、前ゴムシューズや バレーシューズ と呼ばれる白い布製の運動靴でしょう。 男子は青、女子は赤のゴムが底からつま先まで伸びていて、甲の部分にゴムが入った白いベルトが付いたおなじみのものです。 高校になるとEVA素材 (エチレン酢酸ビニル共重合樹脂) で作られた黒や茶といった落ち着いた 色 のサンダル (便所サンダルとか健康サンダルと呼ばれるようなもの) が用いられるケースが多いかもしれません。 地域によっては二足制がとられておらず、通学用の靴でそのままというケースもあります。
日本では 戦前 までは上履きを履くことはないか、あっても稀でした。 教室などは裸足が原則でしたし、そもそも靴も普及しておらず、上履きどころか通学時の下履きですら草鞋や下駄、素足も珍しくない時代です。 当然校舎内も外と同じでした。 素足が土足と同じ扱いだったので当然です。 ただしトイレだけは入口にすのこ状の靴脱ぎ場が設けられ、いわゆる便所サンダルに履き替えるケースも多かったでしょう。 外国人の多い地域 (例えば神戸とか) やキリスト教系の学校などでは他の地域に比べて一足早く靴の普及が進んでいましたが、欧米では室内でも靴を履いたままなので、こちらでも上履きを用いることはなかったようです。
戦後しばらくして スニーカー で有名な福岡県のムーンスター社が現在の上履きとされる布製のバレーシューズの型を考案し、1950年代に下履きの靴の普及と歩調を合わせるように全国に広まったとされています。 この際、欧米流の靴文化が定着していた神戸などでは、普及が遅れたとの話もあります。
靴が日本人の 日常 の生活に当たり前のものになり、校舎入口に昇降口と下駄箱 (靴箱) が設けられ、前述した二足制がある程度全国に行き渡ったのは1970年代に入ったあたりでしょうか。 それでも体育の授業などでは 体操服 で足は素足みたいな授業も当時はわりとありました。
現在では素足で外を歩くなど、夏のプールや海水浴場の砂浜で少しだけある程度ですが、昭和 の時代はわりと当たり前だったんですよね。 筆者 も子供の頃は素足で野原を駆けた記憶がありますが、よく怪我をしなかったものだと思います (いや、結構したけれど忘れてるだけでしょうけれど)。
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