とりあえずこれを言っとけば誉め言葉になる 「渋い」
「渋い」 とは、すっきりと引き締まっている、落ち着きのある洗練された深み、クールで危険な感じ、シックで苦み走った大人の魅力といった意味で用いられる言葉です。 これらと関連し、西日本を中心に単にかっこいい、イケてる、イカすといった ニュアンス で使われることもあります。
とくに1970年代から1980年代後半あたりまでの、不良やつっぱり、ヤンキー・DQN といったアウトロー系が人気だった時代は、人だろうが何だろうが ルックス が優れていて魅力的だ。イケてる、イカすといった誉め言葉全体を一言で表現できる言葉として極めて頻繁に用いられていました。 単に容姿や見た目だけでなく、度胸や 根性 がある、決めるべき時にちゃんと決められる実力がある、尊敬できるみたいな内面への評価にも用いられます。
2000年代以降は、前述した意味を持ちながらも、むしろ字義通りの 「苦い」 とか、「年寄りっぽい」 みたいな ネガティブ なニュアンスでの使い方が多くなっていますが、かつては褒める時には何でも 「渋い」 で事足りるほどの汎用性がありました。
「渋い」 と 「かっこいい」「かわいい」
つっぱり・ヤンキーの時代には、「子供っぽい」 はもっとも避けるべきものとされ、基本的には背伸びして大人っぽく振る舞うのが良いとされていました。 未成年の酒やタバコ、あるいは異性との性的な関係とか、男子はひげを生やしたり大人 （というより おっさん） が身に着けるようなファッションをしがちでしたし、女子も一足早く化粧をして 制服 の スカート を ロング にするなど、できるだけ大人っぽく振る舞おうという価値観が支配的でした。 斜に構えた態度や不機嫌さ、孤独がかっこいいみたいな感覚もありました。
しかしその後はすっきりとしたスマートさや 「かわいい」「若々しい」「清潔感 がある」 なにより 「明るい」 が重要な価値となり、それに反するような 昭和 っぽい 「渋さ」 は時代錯誤、暗い、不潔みたいなイメージを持たれがちになっています。 また世の中全体の 治安 が良くなる中で、つっぱりやヤンキーは時代遅れの避けるべきものとの忌避感が強まります。 以降は若者の間で純粋な誉め言葉として 「渋い」 が使われることはめっきり減ってしまいました。 ただしそれに近い言い回しとして 「ヤバイ」 などは、汎用性の高い言葉としてつっぱり・ヤンキーっぽい感性を持つ人たちの間で使われています。
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